2016年7月23日土曜日

水難防止

 西日本は梅雨明け宣言がでて、関東も梅雨明けまだっぽいが梅雨の晴れ間は猛暑になっている。

 暑い夏がくると痛ましい水難事故のニュースが絶えない。
 水上オートバイが海水浴客を跳ねて死なせたとか聞くと、やっぱり自分の中で水上オートバイ乗りに対する偏見に近い悪感情が湧くのをとどめることができない。
 どれだけ頭が足りなければ、あんな凶器になり得る機械で人の近くを高速航行しようと考えるのだろうか?理解に苦しむ。
 水上オートバイ関係に限らず、酒に酔って、子供を助けようとして、水難事故自体は水辺で遊ぶ限り可能性としては存在して、全くなくすというのは無理なのかもしれないが、ニュースを聞いていてもう少し注意深かったり、ちゃんとした知識があったりすれば避けられたものもあったのではないかと思わずにいられない。

 昔なら地域の共同体の中で、いっちゃいけないような危ない水辺の知識が共有されていたり、親から子へ孫へと水で遊ぶ時の心得が伝授されていたりしていたのが、都会的な個人主義と核家族化の時代になってそういうものが断絶してしまっているように感じる。

 たとえば、私が父親に教えられたことで印象的で憶えている教えは「溺れている人間を泳いで助けに行くな」ということである。なにを非人道的なことを言っているのかと思うかもしれないが、溺れるものは藁をもつかむで、溺れそうな人間は必死でしがみついてくるので、大人と子供の体格差があっても、足の着かない水深で直接抱き止めて救助しようとすると失敗して二重遭難になる可能性が高いからである。正しくはつかまることのできる「浮き」や「ロープ」を投げてつかまらせるのが最善手(クーラーボックスや防水バック、衣類をつないだものなどが使える。みんなで手をつないで引っ張るのもあり)。沈んでおとなしくなったのを引っ張りあげて人工呼吸で蘇生させるというのも次善の策。沈んですぐに引き上げて蘇生しない確率はおそらく、泳いで助けに行って二重遭難にはまる確率より低いはず。
 というようなことを我が父親の世代は身に付いた知識として知っていて子供に教えることができた。

 ひるがえって今時の親をみると、すべてとはいわないがちょっとびっくりするような事例を散見する。
 とある河口で、ヒラメをねらっていたとある夏の日。おもいっきり「遊泳禁止」の看板がかかっているにもかかわらず、河口で子供を泳がせる家族がちらほらといた。もちろん子供が遊んでいる波打ち際は危険にはみえないが、ちょっと沖に出てしまうと、もろに川の流れで沖にもっていかれる。注意してやろうかとも思ったが、わりといわゆるDQNっぽい親たちだったので面倒なことになってもいやなので放置してしまった。きちんとなぜ危険なのか説明しておくべきだったと反省している。
 逆にいつものテナガポイントの浅い川岸で子供にテナガ釣りをさせているときに、しきりに「危なくないか?」と気にしているお父さんがいたりして、底の見えてるよな浅場にはまったところでどうもならん、ということがわからない「都会の親」なんだなとちょっと気になった。こういう親は親でちょっと間違うとすべての水辺を「立ち入り禁止」とかにして子供を水辺から離そうとしたりする気配があって危うく感じる。

 我々釣り人も水辺で遊ぶ限り水難事故とは隣り合わせというか、油断すると死にかねない。
 最近は船に乗るときの救命胴衣着用はすっかり定着していてよいことだと思う。私も洋上では救命胴衣かひもを引っ張ると浮き輪が出てくる救命具を身につけている。もう、ないと不安を感じるぐらいで、海外遠征にも持っていって着用している。写真でみると腰につけたポーチのようなものがそれである。

 そういう安全対策の進んできた釣りの世界で、まだまだ危険だなと思うのがウェーディング関係である。

 割とありがちなのが、シーバスねらいの不必要なまでの深みへの立ち込み。ライフジャケットはつけているので、コケても溺死はないのかもしれないが、寒い時期に濡れネズミになれば凍え死にかねんと思うのだが、漁船が行き交う航路沿いでも腰ぐらいまで深く立ち込んでいたりする。
 膝下くらいで釣ってた当方でも釣れてるんだけど、深く立ち込むともっと釣れるのだろうか?そんなに変わらないような気がするがよくわからん。

 もうひとつ、ウェーディングでは川でも水深のある本流などでは救命胴衣を着用するべきということが、徹底されていないように思う。
 ルアーフライやるような釣り人は、コケても手が底につくような浅い渓流をやるようなウェーダー履いてフィッシングベストというおきまりのスタイルで本流もやっているように見受けられる。
 釣り雑誌の実験記事で読んだが、ウェーダー履いてコケるとウェーダーに入った空気で足が浮いてしまい、スケキヨ状態とまでは行かなくとも、顔が水面に出なくなってしまうそうな。
 その状態で水底に手をついて起きあがれない水深だと、そのまま溺れてしまいかねない。
 それを防ぐためには、水深のあるエリアで釣る場合は救命胴衣の着用が必要と実験記事では締めくくられていた。救命胴衣があれば上半身が浮いて顔を水面に出せる。
 その記事を読んでからは、ちょっと不格好でほかの釣り人がやっていなくても、本流で釣るときは救命胴衣をつけて釣っていた。東北時代の話である。 
 もう20年も前のことになるのかと思うと愕然とするが、いまでも本流のルアーフライマンは危なっかしい格好で釣っている人が多いように思う。

 死んだらつまんないので、是非救命胴衣を着用してほしいと書いておく。
 こういうのは雑誌やテレビで活躍するような釣り人が率先してやってくれると普及すると思うんだけどね。

 楽しい水辺の遊びで事故なんて起こすとつまんないので、安全第一で楽しみましょう。

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