2025年6月21日土曜日

PENN「レベルマチック920」はPENNが作ったアンバサダーじゃない!

 ワシ最近大森スピニング率が高くなってるけど、本来自他共に認める”PENN使い”である。 とはいえ、スピンフィッシャーこそ使い込んできたけれど両軸はみんな大好きアンバサダーを長く使ってきたから、PENN両軸はアメナマ釣りとかに使ってた「インターナショナル975」ぐらいしかあんまり使ってこなかった。蔵には「インターナショナルⅡ30SW」や「セネター9/0」といったトローリングリールも、ロウニンアジのキャスティングに使うつもりで用意していた「545GS」も転がってるけど、実釣で使いこなすところまでは至っておらず、いつの日か活躍させることを夢見て眠ってもらっている。

 という状況で、PENN使いなら1台ぐらい持っててもおかしくない、PENNの主にバスを釣るための(箱にもバスのイラストが描かれている)ベイトキャスティングリールである、レベルマチックシリーズには手が出ていなかった。まあ後発のインターナショナル975は持ってるしいらんだろと。ところがこれが日課のネットオークション・ネットフリマ巡回の時に、送料込み6500円というお安い値段でチョイボロ目の「レベルマチック920」が売りに出されているのを見つけてしまった。相場的には1万円チョイ切りぐらいなのでかなりのお買い得品である。正直いらんリールなので迷った。迷ったけど「迷ったら買っておけ」は蒐集家にとっての鉄則だといつも書いているし、いつものようにスルスルッとマウスが滑ってポチチであった。「ある」のが悪い!!そしてアタイ病気がにくいッ!!!

 まあ、PENNとかABUとかの実用機は買った値段ぐらいで売れるのでいらなくなったら売れば良いぐらいのつもりだったけど、このリールなかなかにというか相当に面白い。見た目ももろにアンバサダーっぽいし、平行巻機構とかもABUのパクリ(丸ABUはフルーガーの影響らしい)臭い。遠心ブレーキの効きが強すぎるのでもっと小さいブレーキブロックをと思うも、ミスティックリールパーツさん海外発送やめてしまったから、そもそもPENNの部品自体手に入れにくくなったんだよなと思ったら、丸アブのそれがそのまま使えて、さすがは丸アブのアフターパーツの豊富さよという感じであっさり解決したぐらいで丸アブの影響はもろに受けてるのは間違いない。

 1970年代の同じような時代に、日本じゃ丸アブ丸パクリのダイワ「ミリオネア」初代とかが作られてたぐらいで(訴訟沙汰になったんだっけ?)、PENNも丸アブっぽいリール作りたかったんだろうなと思って、見るからに似たような設計だろうし、だったら買うほどのこともないだろうと思っていた。でも買って良かった。見た目はアンバサダー、中身はPENN!予想外にメチャクチャ面白いリールだったので、いつものように分解整備しながら語らせていただこう。ご用とお急ぎでない方はごゆるりと楽しんでいってね。

 まずは、PENN両軸なのでハンドルナットは独特の形状で、凹った部分にねじ山をハメることで緩み防止になっている。このハンドルナット専用の工具がPENN両軸を箱付きで買うとついてきたりするので、我が家にもあって余裕の表情で持ち出してみたら、サイズが合わなくて結局モンキーレンチで回した。固着してるとかじゃなければモンキで回りますが、もちろん専用工具推奨。ネットフリマとかで売ってます。でハンドルとドラグホイールを外すとドラグホイールが回ってネジで締まっていくとメインギアの上にあるドラグワッシャー、パッドを押さえることになるスペーサーが引っ張り出せるんだけど、これが円筒形の筒状で、中に収まるメインギアを回す芯の刺さった軸が骨太い。樹脂製とワッシャーを重ねている、なんならインスタントアンチリバース(IAR)の逆転しないベアリングが入ってたりするアンバサダーと比べてエラい太くてさすがPENN”さすペン”という感じである。ちなみにハンドルは見てのとおりシングル。ギア比は4:1と低めで力強く巻ける感じ。

 でサイドプレート側から外して、スプールをすぽっと抜くと、遠心ブレーキもアンバサダー方式だし(アンバサダー用の社外品極小パッドに換装)、グルグル棒一本方式の平行巻機構も同じだし、ここまでだとアンバサダーっぽい。ちなみにフットは後期モデルではアンバサダーでいうと7000cみたいなプレート型のものになっている。こいつはプッシュボタンや逆転防止の形式を見ると後期型っぽいんだけど、フットは古い形式のがついているので古い個体に新しいパーツを換装してあるのかニコイチなのか、イマイチ年代特定しにくい個体。いずれにせよ長期にわたって同じモデルを売り続けマイナーチェンジで改良していくのは、これまたさすぺン。ちなみにミスティックさんところのレベルマチック仕様表で見ると登場は70年代中頃で、製造終了は2004というご長寿モデル。

 ただ、ここからが独特で、丸アブとかのメカプレート方式とフレーム構造に慣れていると、いきなり本体を外したら”本体蓋”の裏に直接ギアだのクラッチ板だの主要なメカがくっついていて、そもそも鳥籠型のフレーム構造じゃなくて、横棒のリムとフットをネジ止めして組み立てる方式になっているので驚く。これあれだ、ペンの旧型セネターとか樹脂製プレートを金属板で補強しつつリムとフットをネジ止めして堅牢な両軸受けリールに仕上げている、まさにその方式の蹈襲で、見た目はアンバサダーっぽいけど、構造やらの設計的にはペンの従来型の両軸機種の発展系であると理解した。出自が全く違うといっていい。ちなみにインターナショナル975はアルミ削り出しの一体フレームで、なんなら今の丸ABUにIARが入ってるのと同じようにハンドル基部に瞬間的逆転防止機構も入っているし、こちらはペンインターナショナルシリーズの系統に入れられているとはいえ、シマノ「カルカッタ」の流れをも汲むわりと今時のありがちなアルミ削り出しフレームの丸型ベイトキャスティングリールで、その印象もあってレベルマチックがこんなに独自色の強い機種だとは想定外だった。ちなみにミスティックさんところの部品販売上での仕分け的にリールは「コンベンショナルリールパーツ」「スピニングリールパーツ」「インターナショナルリールパーツ」「フライリールパーツ」に分けられていて、レベルマチックは”従来の”とか”伝統の”という意味の「コンベンショナル」に分類され、インターナショナル975は当然「インターナショナル」に分類されている。

 でもって、分解進めてメインのギア周りを分解。本体蓋?にネジ4本で止められている主要メカ部分をパカッと外す。

 メインギアも外してギア上のドラグを見ていくと、小型機だけど3階建ての多板方式なのはさすぺンで、これが70年代の設計とは思えないぐらいに調整幅もあれば、キュッと締めるのもできるし、滑り出しも良くシャクリもしない「PENNはドラグが良い」の定評を裏切らない良いドラグ。同時代のアンバサダーのドラグも実用充分に良いドラグだけど、レベルマチックのはバス釣るには過剰と思えるぐらいに性能が良い。どんなドラグパッドとか使ってるんだろうと思ったら、バネ的なモノは一番左端に写ってる金属製の曲げワッシャーのみで、ドラグパッドが革製で、こいつがどうも良い仕事しているようだ。革のドラグパッドは腐ってることも多いけど、コイツは健在でグリス塗り直してそのまま使うことにした。2000年のPENNカタログからの孫引きになるけど、ミスティックさんところのレベルマチックの仕様説明をグーグル翻訳して引用すると「Levelmaticベイトキャスティングリールは、コンパクトで効率的なファイターです。小型軽量でありながら、体躯の大きな捕食魚にも負けないパワーを備えています。頑丈なアメリカ製のこのリールは汎用性も高く、様々な釣り場や用途に対応します。レッドフィッシュのキャスティング、スヌークのプラッギング、パイク、マスキー、ウォールアイのトローリングなど、様々な釣り場に対応します。淡水、海水、汽水を問わず、Penn Levelmaticならどんな場所でも対応可能です。ヒラメをフラットにしたり、大型ブルーフィッシュを倒したり、レッドフィッシュと激しく競り合ったり、ラージマウスバスを水平に釣ったり。」となっていて、小型機(軽量は疑問?)だけどバスだけが対象じゃなくて、何でもイケるぜな心意気で設計したので、バス用としてはドラグにしろ塩水でも錆びにくそうな素材選びにしろ過剰なぐらいの性能を与えられているのだろう。ヒラメをフラットにするのが何を意味するのか良くわからんにしてもたいした自信だ。今まで革のパッドは腐ってカピカピになってるようなのしか経験してなかったので、本来の革パッドの性能はなかなかに優れているのだと理解した。メインギア下の赤ファイバーのワッシャーは滑りと劣化しにくさに勝るテフロン製のモノに換装。

 でピニオンギアとクラッチの関係、逆転防止の方式もバラしつつ勉強しておく。

 一番上の写真ではいま、ピニオンギアが下がって(使用時には引っ込んでたのが出てくるので上がるイメージ)スプール側の俵型した凸部が写真だとピニオンギアにガチッとハマってクラッチが繋がった状態。ここからカチッとボタン手前に引くと、右下の板が押し込まれて、板の上の斜め突起が、ピニオンを押さえている板を、真ん中写真のように矢印の方向に押し上げて、スプールとピニオンの連結が離されて、フリーに回転するようになる。で、ハンドル回し始めると、ハンドル軸の逆転防止のラチェットの下に2カ所蹴飛ばす突起が設けてあって、それが上の写真の上の方のバネで引っ張ってるグニャグニャ曲がった板を蹴っ飛ばしてカチッと元の位置に戻ってクラッチが繋がる。この方式はインターナショナル975でも似たような感じだった。

 逆転防止はインターナショナル957ではハンドル基部に一方通行のベアリングが入れられていたけど、レベルマチックでは一番下の写真のようにメインギア下のラチェットにオレンジの矢印のバネでドックを押しつける方式。水色の矢印のところがちょうどラチェットにドックが掛かってるところ。で、レベルマチックは逆転防止がそういう方式なので巻くときカリカリ鳴るリールだよってのを何度か読んだ記憶があるけど、この個体は鳴かないのでグリスかなんかで音がしなくなってるのかなと思ったら、消音化されていた。緑の矢印の青銅の板がメインギアの下面に当たるようになっていて、正回転時にはドックをラチェットに押しつけないようにしている。ABU方式だと青銅版でラチェットを挟むんだけど、こういう方式もあるのね。どうも、消音化したのは最後の方らしく、ミスティックさんところで展開図を見ると、該当部品は15-910DOGで消音化の板が付いてるイラストになってるけど、部品注文画面で確認すると消音化の板は付いていない。

 で分解終了すると、ベイトリールって多分今時のでもそんなに複雑化してないはずで、こんなもンかなという感じ。ただちょっと困ったのがこのリール2カ所にボールベアリングが入ってるんだけど、これが外し方が分からん。検索掛けたら外し方があるらしいということは分かったんだけど、具体的な方法までたどり着かなかったので、知ってる人が居たら教えて欲しいところ。展開図みてもCクリップ的な輪っかを外せば外せそうなんだけど、ベアリング自体のリングかなというのはあるけど、細かすぎてなんか違う気がするし外す自信もない。海外サイトの「アラン・タニのリール修理」でタイリー氏が詳細に整備方法紹介してくれているけど、「ベアリングは前回いじったから今回は注油だけにしておくぜ、ハッハッハ」って肝心なところを飛ばしててイーッとなった。あと、クラッチ切るボタンは力業で押して抜く方式のようなので今回はさわらないでおいたぜハッハッハ。

 分解したらパーツクリーナーでプシューとして歯ブラシでゴシゴシ、ティッシュでふきふきで、今回グリスはPENN純正、オイルはいつものダイワリールオイルⅡで仕上げておいた。表面のアルマイトが腐食してるところは、とりあえず見栄えより腐食の進行を止めるの優先で、瞬間接着剤で保護しておいた。エポキシやら車用タッチペン塗料とかだと、すぐ剥がれ落ちたりするので、多少白く粉吹いてみっともないけど機能に支障をきたさないようにという処置。今回、デジカメ写真で分解中バチバチ撮りまくってバネとか部品の配置とかを確認できるようにというのはいつもどおりやってたんだけど、慣れてない独特の癖の強い機種だったので、何度もデジカメの小っちゃい画面で確かめるのは、いちいち立ち上げて該当写真探してと面倒くさいので、PCに取り込んで画像ソフトを立ち上げたままでPC前で作業したら、画面大きくて見やすいし順番に写真遡っていけば良いしで作業しやすかった。とはいえ、ピニオンギアを押さえている板を2本のバネを縮めつつ他の部品とも重ねて填めるのはちょっと知恵の輪状態で手こずった。あと本体にメカ部分をネジ止めするとき、外側の2本は樹脂製のクラッチ関連部品を挟み込んでいるので、ネジをきつく締めていくと樹脂部品が変形していくのかいくらでも締め込める感じでやばいので、適当なところで止めておかないとよろしくなさそう。前述したようにフレームが一体型じゃないので、リムやフットをネジ止めしていくときは偏らないように軽く締めてからハンドルグルグル回して良い感じの位置に収めてからしっかり締める、というお作法を怠るとゆがんでどっか干渉してしまうことがあるやにも聞く。

 でもって、使ってみるとこのリール、多少癖が丸ABUとかとは違うので慣れるまでちょっと戸惑うけど、慣れてしまえば魚釣るのになんの問題もない性能を有しているのが分かる。30年にわたるロングセラーッぷりも頷ける感じで、丸アブのいまだに製造販売されている愛され方には負けるにしても、個性的で”さすPENN”な堅牢な作り、優秀なドラグ。一目でPENNと分かるアルマイトゴールドの存在感。すごく良いリールだと思う。

 写真でしか見たことなかったので、ABUだと5000番クラスの大きさだと勝手に思い込んでいたけど、写真でも分かると思うけど赤いアンバサダー5000より一回り小さい感じで、なのに重量は約335gとずっしり重く、イト巻いた状態の5000が約285gなのに比べて、軽量とは言いがたい重量になっている。でも、カップがアルミ以外はれいによってステンと真鍮使いまくりで、丈夫で耐腐食性に優れていて、そういう意図があって重くなってると理解すれば、丸アブより重いといったところで、しょせん小型のベイトキャスティングリールの範疇であり、どうってことはない。

 いつも書いてるけど、ハリとイトは大事でこだわらないといけない。こいつらに不備があると釣りが破綻するってのは、ちょっと前にトラウマになるぐらい痛い目みて思い知らされたところである。いつも書いてるくせにっていうお粗末な話。竿はまあ好みもあるだろうけど釣果を左右する部分もあり、弘法筆を選ばずで好きなの使ってもハリとイトさえ良ければ、最悪魚バラして終わるだけでよそ様に迷惑掛ける話じゃないので、クッソ使いにくそうな竿みんな使ってるけどご自由にだ。さらにリールまで来たら、投げて巻けりゃ十分で、もろに楽しんで自分の好きなリールで釣れば良いと思ってる。投げて巻くのがトラブルなくできるなんていうのは70年代のリールで既にできてたはずなのに、アホな釣り人に売らんがために変な方向に行ってしまってる今時のリールを”性能が良い”と優良誤認して使うぐらいなら、丸アブならもちろん信頼と実績充分だし、PENNのレベルマチックも悪くない選択肢だと思うのじゃ。まあ、レベルマチックはマニアな人は使ってるから、今更ワシごときが書くまでもないかもだけど、古ABUはお高いけど意外にレベルマチックお手頃価格でっせ、とワシが儲かるわけでもないけどお推めしておきます。

2025年6月14日土曜日

ピアレス!オフランス製ざます!!「BAM510M」

 絵だの作文だので賞をもらうとか、スポーツで上位入賞とか、学生時代にはそれなりに機会もあるし、チャレンジの場もあるけど、大人になるととんとそんなモノには縁がなくなる。まあ職場でも部長賞とかその手のが無いわけじゃないけど「賞はともかく金一封はナンボよ?」とか下世話な方向にいきがちな世知辛いしろものであり、純粋に自分の活動に対してお褒めいただき喜ぶというようなことはとんとなかった。

 なので、仲良くしていただいてるネット釣り仲間のMasahiro さんのブログ「アメリカのソルトルアーで日本の魚は釣れるの?」で行われた翻訳コンテスト において、我が翻訳案が見事”優秀作品”に選出され、ワシも苦節17年がところ”お気楽ブロガー”として駄文を書き連ねてきたわけだけど、多少は人様にお褒めいただく”一言半句”が書けるようになったのかなと思うと、素直に嬉しく誇らしく思うところ。コンテスト内容についてはリンク張ったのでそちらで楽しんでいただくとして、我がブログではなんと豪華副賞としていただいてしまった、ちょっとオシャレなフレンチスピニングについて、いつものことながら分解しつつあれこれと書いてみたい。ということでご用とお急ぎでなければゆるりと楽しんでいってください。

 して、そのリールが冒頭写真のピアレス「BAM510M」で、見てのとおり”ベイルレス”マニュアルピックアップのシンプルなワシ好みのスピニングなのである。ただ500g級のそこそこの大型機で、実釣に連れ出すかどうかは微妙なところ、新品箱入りでもあり綺麗なボディーのまま傷つけずに持っておきたい気もする。いずれにせよ我が家に来たからには分解整備なんだけど、基本注油とかは済んでいるので、今回は分解して設計を見るのと、どうもかなりの”プリン巻き”らしいのでその辺をどう対策するかってあたりが”お題”となってくる。

 なのでまずはいつものように分解からである。スプール周りから見ていくと、ドラグはシンプルでスプールの上と下を押さえる方式で、ミッチェルの国のリールだなと思う。思うんだけど、スプール下面に何らかの繊維を樹脂で固めたようなドラグパッドが2枚入っていて、こちらの方が上より面積大きくスプール側下面にははめ込みでスプールそのモノじゃない謎金属のスリーブっぽいのがハマってるのからしてもメインのドラグとみて良さげでこちらはまあ良い。逆に上部は謎金属のスリーブ上部を金属ワッシャーで押さえていて、そりゃアルミとかのかたくなさげな金属を金属で摩擦させたら削れるだろう?というよろしくない塩梅。あとでここはいじってみたい。

 次に本体パカッと開けて、心臓部のギアやら主軸やらを見ていく。

 ギア方式は単純明快ベベルギア方式。スプール上下(オシュレーション)も単純なハンドル1回転で上下一往復する形で、オシュレーションスライダーは樹脂製だけど、スライダーに刺さるハンドル軸のギア上のピンには真鍮製のスリーブがかぶせてあって丁寧な造り。スライダーの固定は、主軸に穴開けて横棒を突っ込んで、その横棒がスライダーの上にハマって、その状態で固定するように下部に切った溝にEクリップがハマる形になっている。

 主軸はステンレスっぽい鉄系で、ローター軸のギアは真鍮、ハンドル軸のギアはこれまた鉄系の芯を鋳込んだ亜鉛っぽい感じで、なんというかギア周りは「マイクロセブンDX」の頃の大森製作所みたいな感じで、真面目に作ってる感じがする。良く言えば古き良き時代を引き継いでる感じで、悪く言えば時代遅れで古くさいとも言えるけど、どちらかというとワシには好ましい。ハンドル軸が鉄系の芯なので当然ながらねじ込み式ハンドル。そしてお待たせしました。全国のBBB団(ボールベアリングをボロクソにこき下ろす者の団)の皆様。久しぶりのボールベアリングレス機です。本体はアルミ鋳造なんだけど、真鍮製のローター軸ギアは本体にネジ止めした真鍮製のスリーブで受けていて、ギア比はだいたい1:3.5ぐらいの低速機なので”ブロンズベアリング”でまったく巻きの重さとかの問題はない。なかなかに心臓部は分かってる人が作った感じになっている(でも同じピアレス社の高級機種にはボールベアリング2個”も”入ってるけどな)。

 で、もいっちょ良いのがラインローラーで投げてるときに出て行くラインがふくらんだのを拾ったりしないようにガードする棒が出てるんだけど、見た感じナットで締めただけなので回ってしまいそうに思うんだけど、分解してみるとネジとベールアームの穴が片側切り欠いてあって方向固定できている。そしてラインローラーは斜めに傾斜のあるツイストバスター系の1カ所にラインが落ち着く形状、回転式で当然のようにボールベアリングじゃなくて樹脂製スリーブが入っている。良いジャンこのリールって思うところ。

 部品数も少なくて、単純設計だけど安っぽい造りじゃなくてちゃんとしてる。以前マニュアルピックアップ機のPENN「706z」をネタにしたときに、norishioさんにフランスにこういうリールがあるよ、と書き込みいただいてた、まさにそのリールだったのでちょっと気になってはいたんだけど、実物目にする機会があって触ることができて実に勉強になった。日本じゃ知名度も無いおフランスの地場リールだけど、なかなか良いリールでした。
 って、めでたしめでたしで終わらないのがドラグをチョイいじりたくなるのとあわせて、最後に残しておいた、ラインが後ろ巻きになっていわゆる”プリン巻き”になる問題で、まあ最終的にはFRPの輪っか填めてアレしてしまえば良いんだから、どうにでもなるとは思ったんだけど、意外にこれがどうしてどうしてって感じだったので、そのあたりを引き続きネットリと書いていきたい。

 まずは、プリン巻きの問題から手を付けてみるけど、これはちょっとどうなのよ?という状態であることが明らかになる。
 下巻きをなんぼか巻いてみると、スプールの下端から巻かれるのは良いとして、上端は斜めになってるスプールエッジの上の方はもとより、底の方の段階ですでに上に届いていなくて、実際にラインが巻かれる幅が、スプールの幅より極端なぐらい狭い。試しにノギス当ててみると、ラインの巻かれている幅(=スプール上下幅)は約14mmなのに、このぐらいまでライン巻いておきたいなというところでスプールの幅を測ると20mmもある。その差6mmはしゃれにならない数字である。で実際にプリン巻きになるぐらいまで下巻き巻いてみると、分かりやすいように最後ライン色変えてみたのが右端の写真だけど、ラインが往復しているのは水色の線で示した幅で、それより上にも下巻きが巻かれているのは、ラインが崩れて広がった分で、巻かれるラインの上部が常に崩れてグチャッとなる分プリン状に巻かれてしまっている。ちなみに真ん中の濃い青の線ぐらいまで巻きたいところだけど、水色の線といかに差が大きいか分かるだろうか?

 要するに設計として、スプール上下幅よりスプールの糸巻き部分の幅が広すぎるというのが決定的で、かつなだらかに傾斜するスプールエッジの形状もよろしくない。ということだろう。内部の設計が真面目でしっかりしているのが大森製作所っぽいと感じたけど、スプール形状がイマイチなのも一緒というより、より極端になっている感じ。
 大森スピニングに処置してきたように、FRPの輪っかを填めてスプールの幅を調整して、スプールエッジの形状を真っ直ぐに整えてやれば抜本的な解決はできると思う。思うけど、そういう”魔改造”は実用機ならやることにためらいはないけど、日本じゃ流通も少ない希少な珍品に、不可逆な改造を加えるのははばかられる。となると、この極端な後ろ巻きをどうにかしてお茶を濁してしまいたい。
 後ろ巻きを補正するには、ラインローラーの位置を上げる、スプールの位置を下げるという方向で、いくつかの手段が考えられる。ラインローラーの位置を上げるには、ベールアームの形状を曲げて伸ばしてラインローラー位置を上げるという力業と、ローターが乗っているブロンズアリングとローターの間に下駄を履かせて嵩上げする。というのが思いつく方法だけど、ベールアーム形状の調整はペンチや万力、トンカチをつかった力仕事で失敗すると取り返しがつかなくなるのであまりやりたくない。スプールの位置を下げるには、スプールが乗ってる台座の上のドラグパッドを薄くするのと、主軸が刺さってるオシュレーションスライダーの上の横棒がハマる溝を深掘りして、その分Eクリップとスライダーにできた隙間に適切なスペーサーを入れる方法を考えたけど、後者は不可逆な手の加え方なのでできれば避けたい。
 ということで、お手軽にできるローターの嵩上げと、スプール座面のドラグワッシャーを薄いのに変えるというので、6mm調整してスプールエッジ丈夫までラインが巻かれて、逆にスプール下部ではラインが崩れまくる極端な前巻きには持っていけなくても、3mmぐらいズラして真ん中へんに持ってきて、なんか樽状に巻けるようになれば良いかなという方針で行ってみた。写真左がローター嵩上げで、黒い根元にみえてるのが元々のスペーサーでそれに加えてローターを1.5mm厚のジュラコンワッシャーで嵩上げした。もう1枚重ねて3mmUPも検討したけど、ローターをローター軸のギアに止めるナットが半分ぐらいしか締められなくなるので無理っぽい。写真右がスプール下の座面にカーボンシートを耐熱接着剤で固めた自作ドラグパッドで、もともとの堅めの樹脂製ドラグパッド2枚と交換、1mm強ぐらいは低くできたと思う。ついでにドラグは調整幅が出るようなバネ的構造がないので、ドラグ上部金属面どうしで摩擦してるのを間にパッド入れるのと調整幅を稼ぐために2mm厚の硬質フェルト製のパッドを入れてみた。ドラグ上面にパッド追加はスプールの上下位置には影響しないけど、ローター嵩上げとスプール下面のドラグパッドを薄くすることで2.5mmぐらいはラインが巻かれる位置が改善されたと思う。
 思うんだけど、今度はなぜかドラグがしゃくって塩梅悪くなった。ドラグが不安定になる要素はあんまりないけど、あるとしたらフェルトパッドか?とテフロンの薄いパッドに交換しても変わらずだったけど、スプール下面の台座上のドラグパッドを自作カーボンシート製パッドから、もとの堅めの樹脂製2枚のうち1枚に戻したら安定した。カーボンシートのドラグパッドは信頼性高いと思ってたけど、たまにドラグ周りは、理屈や経験則にあわない「なんか知らんけど上手くいく組み方」があったりする。
 ということで、ドラグ方面はスプール下面は純正堅い樹脂製を2枚から1枚にして、スプール上面には薄いテフロンパッドを新たに入れた構成になった。3mmズラせればスプール糸巻き部分の真ん中にラインが巻かれるようになって樽状の巻き上がりになるところだけど、これで2.5mmぐらいのズラし幅になって、チョイ後ろ巻きぐらいにはできた。右の写真でスプールの上面と下面にもオレンジのラインが巻かれているように見えるけど、これは金属面に写ってるだけで、実際に巻かれている目印のオレンジラインはスプール下面よりちょい上から巻かれてスプール上面からはまだやや遠い位置まで巻かれている。まあ2.5mm強の調整だとこんな感じ。

 で、冒頭写真で写ってるプリン巻き矯正エコノマイザーをスプールに装着してラインを巻いてやると、写真上のような感じになって、ここまでやってもスプールエッジ近くでラインが崩れて微妙にプリンっぽいけど、このぐらいで勘弁してやろう。これ以上どうこうするなら、スプールの幅をアレして調整だろうな。これひょとして昔はもっとスプール幅狭かったけど、今時のスプールでっかいスピニングの流行追って、雑に主軸とスプールだけマイナーチェンジとかしてるんじゃなかろうか?どうなんだろ。
 で、Masahiroさんに教えてもらったんだけど、マニュアルピックアップ機とハンドル一回転でスプール上下一往復のオシュレーションは相性が良くて、ハンドルを下げたときにスプールが一番上がった状態にハンドルの向きをギアとあわせておけば、常にハンドルを下げたときにスプールが一番上がった状態で投げることができる。
 これは、逆にスプールが下がった状態で投げると、スプールから出て行くラインをラインローラーが意図せず拾ってしまうトラブルが生じるからで、マニュアルピックアップ機では投げるときにスプールは上がった位置であることが望ましい。写真下の位置関係見るとスプールから放出されるラインがふくらんだら確かに引っかけかねない。それを防ぐガードがついてるにしてもである。
 ってのをバンスタールとかは良く分かってて、バンスタール使いの友人にMasahiroさんがマニュアルピックアップ仕様にしたPENN「トルク」を試してもらったとき「ハンドル下げてもスプールが上に来ないから怖くて投げにくい」と言われたそうである。トルクは減速オシュレーション方式なのでハンドルが下に来ていてもスプールが上にあるるとは限らない。その点でも、スプールが上に来た状態でも人差し指がスプールエッジに届く点でも、BAM510Mは合格で分かってる感はある。
 マニュアルピックアップじゃないフルベールで減速式のオシュレーションが搭載されているスピニングで、ハンドル位置が投げたときに勢いで勝手に回りにくい下に来たときに、必ずベールが起こしやすい位置に来るかというとそうでもなく、そのへん瞬間的逆転防止機構が搭載されてなくて遊びが多少あれば、ローターは多少角度変えても増速してるのでハンドルはそれほど動かず調整可能で都合が良かったというのはスピニングリールが分かってる識者の多くが指摘するところ。フルベールの場合投げるときにスプールが上に来ることは必要ないのでハンドルが下の方に来てベールワイヤーが手前に来るようにすれば良かった。PENN7500ssとかギア比の関係か良い位置に来る状態をキープするために垂らしの長さをいつも同じにしてればいつもハンドル下に来たらベールワイヤーが手前に来てたような記憶がある。
 逆に、減速方式のオシュレーション採用のマニュアルピックアップ機では、投げたときにハンドルが回ってしまってもベールが返るわけじゃないので、スプールが上に来てラインローラーが手前に来たら、ハンドル位置はあまり気にしなくても良いかも。減速式オシュレーションならハンドルが多少回ってもスプールはそこまで上下位置が変わらない。と思うけどどうだろうか。でも投げたときにローターが回ってしまうとラインを意図せず拾ってしまう確率が上がるか?

 いずれにせよ、このピアレス「BAM510M」。総合評価としては、既に書いたように「メカは良くできてるのに、肝心のスプールがイマイチ」という、大森スピニングと似たような評価で、スプールの問題はスプールの幅を改造してしまえばなんとかなるので、ワシ的には充分”有り”だと評価する。大森製作所とちがってデザイン的にオシャレな点は高評価(大森のデザイン、昭和骨董的で好きだけど優れているとは思わない)。流石はフレンチリール。このリールがこの時代まで、こんな古くさい設計で生き残ってきた要因の一つにはルックスの良さがあるんだろうと思う。なんというか金持ちが海辺の別荘ででも使うクルーザーとかに、今時のメイドインジャパンとかデザイン的にダサすぎてしっくりこないだろう。壊れるところもなければ、巻き取り効率よいベベルギアかつ低速機でそれなりに大物が来ても大丈夫、使いどころさえ間違えなければ実用的でもあるだろう。錨泊地でチョイと釣りでもするか、という時にPENNのインターナショナルとかゴツいの出すのも違うだろうしな。フルベールアームが登場する前からスピニングリールが市場にあった欧州という土地柄的にもマニュアルピックアップ機には馴染みもあるだろう。
 っていうような理屈は考えるけど、結局のところどのメーカー、ブランド、機種が生き残り、逆に消えていったか、それは歴史の偶然でしかないように思う。
 何度も書いているけど、良いモノが評価され生き残るのなら大森製作所「マイクロセブンC」シリーズなんていう傑作機が過去も現在もたいして評価されていないし、大森製作所は潰れてしまったのはなぜなのか。日吉も韓国に生産拠点を移して生き残りを図ったけど、良いリール作ってたけど生き残れなかった。でも松尾や瑞穂はリールだけ作ってるわけじゃないので”本業”で生き残ったとしても、五十鈴がしぶとく高級マニアック路線で生き残ってる(大森の二代目も五十鈴に籍を置いていると聞く)。それはなぜなのか?少なくともワシには分からんわい。
 生物の進化でも、現存する生物がその形でいるのは環境やらに適応して必然的にそうなっていくというのもあるけど、根源には偶然性があるようにいわれている。なぜ人類はホモ・エレクトスとかネアンデルタール人じゃなくてホモサピが生き残って繁栄したのかにせまったNHKのドキュメンタリーを見たけど、何度も起こった危機がたまたまホモサピに味方しただけで、一つ間違えれば絶滅していてもおかしくなかったと解説されていて興味深かった。なぜオーストラリアは有袋類天国なのか、なんてのも大陸移動とかの偶然でそうなっただけだろう。そのオーストラリア以外では消えていった有袋類のなかで、なぜオポッサムだけは南北米大陸で生き残ったのか、生態系の地位が空いてたとかなんとか理屈はつけるんだろうけど、じゃあ他の有袋類との違いは?とかいうと結局説明つかなくて、たまたま生き残った結果生き残ってるとしかいいようがないんだろうと思っている。

 なぜ、ピアレス「BAM501M」が生き残ったのか?理由は結局のところ分からんけど、こういう個性的なリールが生き残れるぐらいには、世界は多様性に満ちた趣味趣向にあふれているってのは、似たような流行追っかけてるだけの没個性的なつまらんリールにうんざりさせられている中、ちょっと良い感じの福音なのではないだろうか。

2025年6月7日土曜日

釣り宿ナマジ、改装リニューアルオープン!

 我が家は借家なんだけど、ハッキリ言ってボロい。まあ家賃がクソ安いので全くもって文句言うべきではないところだけど、できうるなら快適に暮らしたい。住み始める時には、内装のベニヤとかも剥がれてたりしてたので、時間もできるだろうし日曜大工で快適にリフォームしていこうと思って墨壺やら平衡器やらもまずは買ったんだけど、これが年中魚釣るのに忙しく、さすがに雨漏りは直さざるを得ないので、屋根に上って修理したりはしてるんだけど、内装関係はほぼ放置していた。ベニヤが剥げてようが、畳がすり切れてようが死にゃあしない。

 と思ってたんだけど、畳がすり切れてるのがちょっと尋常じゃなくなってきて、原因としては愛猫コバンが元気に部屋の中走り回るから削られていくッテのがあるんだけど、畳表が剥げて下の地が見え始めてるし、ところどころ縁の布がボロくなって剥げてる。とりあえず、これ以上崩壊が進まないように米国人大好き”ダクトテープ”を貼ってみたり、広範囲に禿げちょろけてきた所は段ボールでパッチ当てたりしてるんだけど、当座しのぎにすぎず、かつお客様部屋はもうちょっと小ぎれいにしておきたい。まあ”釣り宿ナマジ”のお客さん達は、このボロさも味わいのうちとして楽しんでるようではあるにしてもだ。

 ということで、畳表の張り替えをせねばならんのかな?と思うんだけど、畳表の張り替えは一枚5千円からしてきて8畳間二部屋やるとなると結構オゼゼがかかり、畳屋さんにあずけてる間の時間もかかるうえに、張り替えても客間はともかく居室はどうせコバンが走り回って削ってしまうからあんまり意味がない。ぶっちゃけ港至近のこの家は津波が来るまでしか使えないので、南海トラフ地震はいつ来てもおかしくないと言われている状況の今張り替えても、すぐに海の藻屑になりかねずあまり気が乗らん。って言う感じでうだうだと先延ばしにしていたけど、いっそ全面段ボールを敷いてしまうかとか考えてて、まてよゴザってい草でできてるし、畳の上に敷いたら似たような感じになるし、耐用年数的にはたいしたことないかもだけど、値段がその分安ければ適当に交換していけば良いだろうから、手間もかからんし現実的ではなかろうか?と考えて、ア○ゾン様で探ったら、手頃な値段のセール品で3畳型一枚約4千円ってのと、1畳型約千円ってのがあって、とりあえず客室用に3畳2枚と1畳2枚と、居室の座ってるPC前用に1畳1枚を購入してみた。

 で、まあめんどくせえことは何もなく、部屋の角とかにあわせて敷き詰めていって、畳用のピンで要所要所留めていくだけでサクサクっとお部屋がリニューアル。
 多少しわが寄ってるのは保管時の折り癖が残ってるだけでそのうち解消するだろうから気にしない。
 多少気にしたほうがいいのは、元々の部屋の畳が”江戸間”か”京間”かの確認ぐらいだけど、紀伊半島でも普通に江戸間なので最近は京間のお屋敷なんて関西の何代も続くような金持ちしか関係ないのかも。

 ”畳と女房は新しい方が良い”などと言うと今時フェミニストどもにつるし上げ食らいかねないけど、確かに新しいイ草の香りは悪くない。畳じゃないけどな。女房の方については黙秘します。ちなみに女房と味噌は古い方が良いって言葉もある。感じ方には個人差がありますっていう多様性の時代。

 とまあ、畳については結局”みっともねぇ”ってのを除けば実害はなく、なんなら段ボールを敷いて対応しておけば、経費的にはタダ同然でいけたんだけど、段ボールはどうにも健康的文化的な生活っていう見た目になりにくいので、思いつきでゴザでどうにかしてしまった。経費もそれほどかからず、それなりの耐久性がゴザにあるようなら費用対効果的に悪くないだろう。

 っていうのとは別に、切実な問題が屋根の雨漏りの他にいくつか生じている。屋根や畳のような建物に付随するものではなく、家電の類いで、3つほど購入やら買い換えやらが必要になってきていた。どれも今すぐでなくて良いんだけど、性能が落ちてきたりしているので長期的には買い換えしないとi
けないのが、冷蔵庫と瞬間湯沸かし器で、瞬間湯沸かし器は入居した当初から湯温が安定せず、低めの設定温度でないと熱湯と水が交互に出てくるような感じで、センサーのバイメタル(温度による収縮率の違う金属を貼り合わせて曲がり具合でスイッチが入ったり切れたりする方式だけど、今でもその方式なのか?)がバカになってるのかもしれん。修理に出すか買い換えるかだけど、低温の設定でも凍えなきゃならんような状態にはないので喫緊の課題ではない。もう一つが冷蔵庫で九州時代から使ってるのでかれこれ15年選手であり、クソ夏の高温時に冷蔵室の冷えがイマイチと感じるようになってきた。冷凍庫は問題ないので夏には定期的に冷凍庫で作ったペットボトル氷を冷蔵室の上の方に入れて低温を維持したりしているので、そろそろ買い替え時である。冷蔵庫に関してはシラスウナギで稼いだ分で買い換えることを目標としており、現在2万円強貯まっている。冷蔵庫今のと同じぐらいの型の新品買うと、国産有名メーカーだと10万円以上、中華製で名前聞いたことあるメーカーだと5,6万ぐらいで、中古は運次第、できることなら10万円以上稼いで国産の良いのを買いたいところなので、来期もせっせとシラスかきせねばである。性能の劣化速度が速いか、”シラス基金”が貯まるのが早いか微妙なところである。

 というのの他に、今現在は問題ないけど、ナニか起こったときに重大な問題になりそうなのが3つめのエアコンである。我が家には1台エアコンがありクソ夏でも快適に過ごせる魔法の機械なんだけど、使っててたまに思うのは「これ、故障したら死にかねんよな」ということで、EUであったように電力供給システムの不具合で停電とか、インドであったように生活インフラへのサイバー攻撃とかで停電ってなったら、太陽光発電とかの自家発電設備でも持ってないかぎりどうしようもない。っていう根本的な問題はあるにしても、機械が1台しかなくて故障したら健康上甚大な被害が予想できるっていうのは避けておかねばと、昨今のクソ夏の度に思ってた。けど、のど元過ぎれば熱さ忘れるって話で、涼しくなると忘れてしまい。かといって夏の暑い時期には電気屋も繁忙期で工事もすぐには来てくれないしエアコンも強気の値段で高い。しかし昨年のクソ夏の暑さはさすがに懲りて、黒潮大蛇行終息で涼しくなるかもって話も耳にするけど、どのみち海水温上昇傾向は続くのだろうから憶えてるうちに買っておいて正解だっただろうと思うけど、2月まだ寒いうちに近所の電気屋さんがセールやってたのでガツンと工事費込みで8万円弱かけて客室の方にもエアコン取り付けてもらった。これで、エアコン片方壊れてももう片方の部屋で涼しく過ごせる。

 過ごせるんだけど、実は古い家なので、エアコンだの電子レンジだのといった大容量の電力を消費する電化製品が想定されておらず、配電盤でブレーカーごとに配線分かれて各部屋に電源が配分されていれば問題ないけど、結構大くくりでまとめてあって、エアコンのある居室と客間は同じブレーカーに繋がる配線で、同時に稼働すると設定温度とかにもよるだろうけど「ブレーカー落ちる可能性があるよ」との電気屋さんのご指摘。配電盤から新たな線を引っ張ってくれば解決だけど、電気工事やってもらうとまたオゼゼが飛んでしまう。なんとかならんかなと考えて、廊下挟んで向かい側の釣り具部屋は別のブレーカーに繋がってるので、そっちから延長コードで引っ張ってくるのぐらいは日曜大工でできるだろうということで、とりあえず居室のコンセントに突っ込めるように電気屋さんには工事してもらっておいて、その後暇をみてメジャー片手に配線経路を考えて、7mの延長コードを買って、天井付近の梁にヒートン打って、無事釣り具部屋のコンセントから引っ張る体制は整って、電源問題も解決。これまで釣り宿ナマジは夏の営業はしてなかったけど、エアコン着いて1年中お客様を迎えられる体制が整った。

 いつもご利用いただいている皆様、新装開店となりました”釣り宿ナマジ”を今後ともよろしくお願いします。看板猫コバンによるご接待(お触りOKでっせシャチョーさん!)、産直のトレトレの魚を中心とした料理、最新の情報に基づく釣り場ご案内は引き続き当宿の”売り”でございます。これからもご期待のうえご指導ご鞭撻のほど重ねてお願い申し上げます。