2025年5月20日火曜日

<重要>サンライン「クイン★スター」とサンヨーナイロン「エクストラV-500」には生分解性がありまーす

 水中等の自然環境中で、細菌など微生物の働きで分解される、いわゆる”生分解性”のあるナイロンラインについて、ワシはサイトを立ち上げた当初から推しまくっていて、っていうか、生分解性のショックリーダーを世に広めるのが大きな目的の一つでサイトを立ち上げたと言っていいぐらいである。あつかえもせん細糸を絡ませて釣り場に捨てていく弩級の輩どもは論外として、普通に釣り場にゴミを出さないように心がけている釣り人でも、どうしても根がかりしたり、魚に切られたりして環境中にラインを放出してしまうことは想定される。それがラインに生分解性があったらだいぶマシな結果になる。時間の経過で劣化してボロボロになってもマイクロプラスチックとして百年単位で環境中に残ってしまうといわれている生分解性のない素材でできたラインと比較して、速やかに生物たちの力を借りて分解されて環境中から排除されるのなら、 環境に与える影響は小さくてすむだろうことは確かだろう。

 この問題には、釣り用のナイロンラインの製造元である日本の各メーカーでも結構真面目に取り組んでいて、以前も紹介したけど元祖の東レ「フィールドメイト」も初代は性能的にいまいちで受け入れられなかったのを再度2010年代に改良版を出しているし、バリバスのモーリス「RTE」も第2世代まで開発して頑張ったし、ラインの国内工場持ってるデュエルも作ってたし、ダイワも石鯛の捨てオモリ用で売っていた。でも全部廃盤になってしまった。少なくともショックリーダーとして使用する分には、引っ張り強度、耐摩耗性共に足りなければより太いのを使えば良いだけで、多少太くて伸びがあるのは技術でカバーして使いこなすのが釣り人の”腕前”ってもんだろうと思うけど、日本の釣り人の多くが、釣り糸は単純に細くて引っ張り強度が強いのが良いぐらいの評価基準しか持っていなくて、そうじゃなければ変にマニアックに低伸度で感度が良いとかをありがたがる。これまで何度も書いてきたけどアホでしかない。だから「生分解性ショックリーダー」という魚釣るための性能的には及第点ぐらいのショボいものであっても、一番大事な釣り場に魚が沢山いることに効いてくる”環境性能”的に優れていることを正しく評価することができなかった。マヌケでお粗末で腹立たしくワシも釣り人の一人として恥ずかしいかぎりである。ラインにナニが必要かは自分がやる釣りに応じて、それぞれ適切なものや好みのモノがあるだろうけど、一般的にそこいらでシーバス釣ったり海の小もの釣りしたり川魚釣ったりでは、引っ張り強度なんて今時のナイロンラインなら十分だし、結びやすさやらトラブルの少なさ扱いやすさやらで、そこそこの太さのあるナイロンラインで、根ズレやら歯の対策にフロロのリーダーでも接続しとけば事足りる。細いPEやらエステルやらなんやら、飛距離だ感度だ小うるさいこだわりで選ぶ釣り人のどれだけが、それらの細糸の利点を引き出せているのかはなはだ疑わしい。何度でも書くけど飛距離なんて魚に接近する方法いくらでもあるので多少の差はカバーできるし、遠投してる多くの釣り人はなんにも魚が居ないところを引っ張ってる時間が長くなってるだけだったりする。ちゃんと食ってくるゾーンが分かっててそこに届かせるために投げてるか?そして感度が良いラインの向こうでは魚が感度良く釣り人の動きを感じているだろう。感度が悪くて魚が違和感覚えにくい道具立てで、分かりにくいアタリをとれるようになると「ショートバイトが多くてスレてる」とか聞いた風な言い訳をしなくてすむようになる。

 で、環境性能的に優れている生分解性のラインを釣り人の要望に応えられるぐらいに高性能化するには、まだ何段階か必要で、ラインメーカーさんの頑張りを期待するしかないと思っていたら、思わぬ方向から解決策の大きな突破口が見つかった。

 「これまで分解しないとされていた市販の釣り糸が海洋で生分解することを発見」というどうゆうことやねん???と驚愕するネットニュースが5月15日ぐらいに流れてきた。

 ワシそういう話題しか記事読まないから、ヤフー様がお勧めしてきてくれたってだけで、一般の人の目にはついてないかもなので、興味のある人はネタ元の東京大学の記者発表にリンク張ったのでご一読いただきたい。ネットの記事では、東大中心とした研究グループによる報告で、市販されているナイロン釣り糸の中に生分解性があるものが認められて、ナイロンは環境中で生分解されないとされていたこれまでの常識を覆す発見であると紹介されていた。ワシ的に衝撃的な内容だった。

 生分解性があるナイロンライン、釣具屋で以前から普通に買えていたみたいです。

 分解されるってことは劣化が早いってことでもあり、メーカー側は公表されたくない事実かもだけど、市販品のレベルの強度を新品時持っていて生分解性のナイロンラインなんて、夢の釣り糸だろそれはって話で、メーカー側は堂々と”生分解性”を謳って売って欲しいし、釣り人も釣り業界も少しでも環境負荷が減るようにそういうラインを使う方向に行かねば嘘だろうと思う。ナイロンラインを劣化するまで使い続けるような弩級の素人のドアホどもの意見は無視するべきである。もちろん生分解性があるからといって釣り場に捨てて良いわけじゃないけど、それでも釣り場環境の保全に貢献するのは間違いなさそうに思う。遊びの釣りだけじゃなくて記者発表でも触れられているように漁業にも大きく貢献する発見だろう。具体的な銘柄がなんだったのか?も知りたいし、どういう細菌とかが分解しているのか、銘柄によって違いが出るのはどういう仕組みか、もしかして昔はナイロン系とかのプラ素材を分解する生物ってほとんど居なかったけど、環境中にプラゴミがあふれたことによってプラ素材を食う生物が増えてるとかもあるのか?とか研究の続報も知りたいし、現状の研究結果もネットの紹介記事だけでは断片的でよく分からんので、東大の記者発表検索してちょっとお勉強してみた。

 銘柄はすぐに判明。お題に書いてしまってるけどサンライン「クインスター」とサンヨーナイロン「エクストラV-500」の2銘柄で顕著で、実験には色つきのを使ってたけど、キモになるのは引用すると「ナイロン6とナイロン6,6の共重合体(2種類以上の異なる単量体(モノマー)が結合してできた高分子(ポリマー))の釣り糸の中で、共重合体の比率がある範囲に入る市販の釣り糸が、海洋中で生分解性ポリマーの標準物質であるセルロースと同程度の生分解性を示すことを世界で初めて明らかにしました。」ということらしく、ストレーンのデュポン社のカローザス博士が開発した最初のナイロンであるナイロン6,6と東レとかが開発したナイロン6を混ぜた塩梅によって生分解性の違いとかが生じているようだ。2銘柄に関しては生分解性素材の代表的なセルロース(木とか紙とかもセルロース)と同じぐらいの生分解性があって、クインスターだと海底で3ヶ月で強度は20%まで劣化するとか。あと東レ「銀鱗」も先にあげた2銘柄ほどではないけど生分解性があるとのこと。

 クインスターってJ州屋とかで売ってる代表的なボビン巻きナイロンラインじゃん。っていうかワシ50LBのショックリーダーとして愛用してる。ちょっとごわついた感じの堅めのナイロンって印象で、ややフロロ寄りのナイロンと思ってなんの問題もなく使ってたけど、生分解性があるって認識なかったから、リーダーとして組んでスプールに巻きっぱなしで保管してるヤツとか劣化して強度低下してしまってるかもだから要注意だな。

 とりあえず根魚クランクに使ってる先っちょのハリスはフロロの8号だったけど、根掛かりやら切られることは極力避ける方針で生分解性はイランかもだけど、念のため手元にあった50ポンド12号を早速導入。さらにシーバス用に4号、アジのハリス用に一番細い0.6号も購入。さっき書いたようにやや堅めの印象でワシの好み的には道糸にはどうかな?と思うけど、色も道糸向きの黄色とかもあるし、ハリスで使ってみていけそうなら導入したい。この際好みだなんだは無視すべきか?少なくともハリスでクインスターの商品ラインナップに適切な太さがある分は、どうしてもシーガーのフロロカーボンハリスに頼りたいって場合を除いて全部クインスターにしていこうと思っている。過去の生分解性ナイロンリーダーは伸びまくりでさすがに道糸には使いにくそうだったけど、クインスターとか普通に道糸に使われてる糸だろうし、好みは別として使って使えないことはなさげで、生分解性ナイロンの釣り糸としての性能は、”リーダーとしてはなんとか使いどころがある”って程度から、いきなり飛躍して”道糸でも普通に使えまっせ”ってレベルに革命的に向上したと言えるるだろう。

 ただ不思議なのは、なんでナイロン6にもナイロン6,6にも生分解性なんてないのに、その共重合体には生分解性があるのかっていう仕組みとか、いったいどんな細菌とかが分解しているのかとかとか、そのへんはまだ分かってないようなので、引き続きの研究と報告に期待したい。

 なんというか、分かってしまえば「もうできてるじゃん」っていう話だけど、典型的な”コロンブスの卵”で、最初に見つけたその着眼点、分析力が素晴らしいと手放しで賞賛したい。さすがは日本の最高学府”東京大学”って他も参加してるにしても思ったところ。また通常ならこういうの「プレスリリース」って横文字使いたがるところだけど「記者発表」って漢字表記なのが頭良さげ。まあ実際頭いい人が入る大学だろうから当然か。横文字やらローマ字略称やらでさも己が賢そうに見えるように粉飾してるドアホどもは、頭が良いから分かりやすい言葉を選ぶことができるってのを肝に銘じよ。

 クインスターとかの安いボビン巻きナイロンラインの性能を馬鹿にして「オレ様はそんな低レベルな道具は使わない」とか言っちゃうような弩級のバカは釣りなどやめてしまえ。クインスターやらが生分解性という環境性能で再評価されるようになったら、そりゃ各社、1から生分解性ナイロン開発するのに比べたら、条件に合致させて高性能化するのは、現状で既に釣り糸として売り物レベルの性能があるのでわけないはずである。今、クインスターなりエクストラVなりを買って、その開発を後押ししてやらねば、ただでさえ釣り糸のゴミは文字通り収拾つかないぐらいの”日本の釣り場の現実”があるので、こんなチャンスを見逃すようなマヌケに釣れる魚などろくにいないのは明白。なので、とっとと釣り具を中古屋にでも売ってしまって撤退しておけと自称達人でカリスマのワシャ親切にも助言してやるのじゃ。

 今後は生分解性のナイロンラインを使いこなせなければ、時代遅れのヘッタクソということになるだろう。


<注>いつも週末に記事あげてますが、今回はネタの重要性に鑑み、なるべく当ブログのトップに出る期間を長くして多くの人に伝わるように早出ししています。なので今週末24日(土)に更新は無しの予定です。あしからずご了承ください。また、このクソ重要なネタに触れないような雑誌、映像番組等の釣りメディアがあれば、およそ役に立つような情報など期待できないので切った方が良い釣りに繋がるかと存じます。

10 件のコメント:

  1. ブッコミ及び石鯛でダイワの生分解捨て糸を使っていて在庫が残り僅かでしたがクインスターに乗り換えようと思います。

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    1.  必要な人に情報を届けることができたようで嬉しく思います。

       生分解性ナイロンラインはなかなか日本の釣り具市場に定着しなくて確保するのに苦労してきましたが、やっとその悩みから解消されそうです。

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  2. 研究者の方とナマジさんに感謝です。因みに捨て錘は鉄製(メーカー品や個人製作がチラホラある)を使っているのでこれで幾分か気が楽になります。
    ルアーのリーダーもクインスターにしてもいい気がしてきました。

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    1. 「幾分気が楽になる」という感覚よく分かります。
      工業製品の釣り道具を使ってる時点で、どっかで環境に負荷を掛けてる状態から逃れられてはいないのだと思っていますが、それでも直接釣り場に釣り糸やらを長期間残してしまうことが避けられるだけでも「気分は楽」になりますよね。
       フジワラの鉄オモリは私も使ったことあります。フジワラのオモリでは鉛不使用のスズ製がん玉を愛用してます。真面目なメーカーさんだなと感心してます。

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  3. ちゅちゅむ2025年5月25日 3:16

    いま偶然使ってるのがクインスターでした。
    10号 40lbをリーダーにしてアジングしてました。
    細いのも買い足しますね。

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    1. 10号リーダーでアジングって想像つかない世界です。デカいアジ狙ってるんでしょうか?
      0.6号まで各種太さそろってるのでドンドン使ってみてください。

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  4. いつも楽しく拝読させていただいております。
    生分解性については知りませんでしたが長らくクインスター(とジャストロン)愛用していました。今後はクインスター一本で行きたいと思います!
    生分解性とは違いますが古いナイロンラインで未使用でも明らかにボロボロに風化してるやつありますし、最初は紫外線のせいかな?なんて思ってましたが、意外と加水分解したりするんでしょうかね。

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    1.  読んでいただきありがとうございます。
       古いナイロンラインがボロボロになるのは、紫外線と吸水劣化が主な原因と聞いてます。加水分解されてるんじゃないかと私は思ってるところです。不透明な紙パックで売られていた古いナイロンラインは、紫外線が避けられて、紙の吸湿性で湿度も低く保たれるから劣化が少ないという記事を読んだことがあります。
       まあ、劣化しない腐らないようなモノは”自然じゃない”ってことだと思います。
       私も順次クインスターに切り替える作業中です。 

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  5. いつも楽しく読ませていただいております。
    生分解性ライン使いたいと思っていましたが、もう入手できないものと思っていました。
    いいこと教えていただいたので、こちらからも情報共有です。
    サンヨーナイロンに問い合わせたところ、VALCAN EXTRAシリーズはH-10、H-50、V-500、C-50というラインナップがあるのですが、それぞれ、10m巻き、50m巻き、500m巻き、50m巻き連結、の意味で、素材はおなじということでした。

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    1.  楽しんでいただけているなら嬉しいです。
       VALCANも試したいけど、500m買って好みに合わなかったらと躊躇してましたが、50m巻きとかなら試すのにちょうど良いです。良い情報をありがとうございました。

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